※2026年7月20日更新

2025年10月から、住宅用太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)に「初期投資支援スキーム」という新しい仕組みが導入されましたみたいだけど、「最初の4年間は売電単価が24円/kWhに上がる」と聞いて、お得なのか不安なのか判断がつかないから教えてほしい。
結論から言うと、新FIT「初期投資支援スキーム」は、導入から4年間だけ売電単価を約1.6倍(24円/kWh)に引き上げ、5〜10年目は8.3円/kWhに下げる「階段型」の買取制度です。
総支払期間は10年間で変わらず、早期の投資回収と自家消費へのシフトを後押しする狙いがあります。2026年度も同じ単価が維持されています。
✅本記事の内容
・新FIT「初期投資支援スキーム」とは?結論を先に
・なぜ導入された?制度改正の背景をわかりやすく
・旧FITとの違いを比較|何が変わった?
・住宅用(10kW未満)の価格と適用条件を詳しく解説
・事業用屋根設置(10kW以上)の価格と地域活用要件
・【独自試算】新FITと旧FITでどれくらい差が出る?
・新FIT vs 非FIT(自家消費+補助金)どちらが得?
・新FITの4つのメリット
・新FITの4つのデメリット・注意点
・よくある誤解を訂正
・導入までの流れとスケジュールの目安
・よくある質問(FAQ)
・よくある質問
✅本記事の信頼性

✔太陽光発電メーカーに10年以上勤務(現役)
✔家庭用太陽光発電を月販200棟(3年以上継続中)
✔某大手ビルダーの営業担当(複数ビルダー担当)
この記事では、太陽光発電・蓄電池分野の専門家として、制度の背景から具体的な数字でのシミュレーション、非FIT(自家消費+補助金)との比較、注意点までを、経済産業省 資源エネルギー庁の公表資料をもとに網羅的に解説します。
読み終える頃には、ご自宅にとって新FITが得なのかを判断し、見積もり依頼に進める状態になっているはずです。

「新FIT」って結局、前より得になったってこと?

一言でいうと「早く回収できるようになった」が正解です。ただし後半6年は単価がグッと下がるので、トータルの損得は使い方次第なんですよ。この記事で一緒に整理していきましょう。
新FIT「初期投資支援スキーム」とは?結論を先に
結論:屋根設置の太陽光発電に限り、最初の数年間の売電単価を高く、その後を低くする「階段型」のFIT/FIP制度です。

初期投資支援スキームは、経済産業省の調達価格等算定委員会が2025年2月に取りまとめ、2025年10月1日以降に新規申請・認定を受けた案件から適用されている制度です。

対象は屋根設置の太陽光発電に限定され、地上設置(野立て)は対象外です。
対象は屋根設置の太陽光発電に限定され、地上設置(野立て)は対象外です。
住宅用(10kW未満)と事業用屋根設置(10kW以上)で単価と期間が異なります。
| 区分 | 初期投資支援期間の単価 | 後期の単価 | 買取期間 |
|---|---|---|---|
| 住宅用(10kW未満・FIT) | 1〜4年目:24円/kWh | 5〜10年目:8.3円/kWh | 10年間 |
| 事業用屋根設置(10kW以上・FIT/FIP) | 1〜5年目:19円/kWh | 6〜20年目:8.3円/kWh | 20年間 |
住宅用の場合、余剰売電比率70%・自家消費比率30%を前提とした価格設計である点は従来のFITと変わりません。
あくまで「自家消費が基本、余った電気を売る」という制度の骨格自体は維持されています。
なお、後期の8.3円/kWhという水準は、卸電力取引市場価格の加重平均をもとに設定されたもので、いわば「制度による下支えがなくなった後の、市場実勢に近い水準」に相当します。
なぜ導入された?制度改正の背景をわかりやすく

結論:FIT単価の長期下落による導入ペース鈍化を食い止め、屋根設置太陽光を増やすための政策転換です。
住宅用太陽光のFIT単価は、制度が始まった2012年度の42円/kWhから、2019年度26円/kWh(出力抑制義務なしは24円/kWh)、2024年度16円/kWh、2025年度上期15円/kWhと、一貫して下落を続けてきました。
単価が下がるほど投資回収にかかる年数は伸びる傾向にあり、新規導入のペースは頭打ちになっていました。
一方で、国は2025年2月の閣議決定「第7次エネルギー基本計画」で、2040年度の再生可能エネルギー比率を「4〜5割程度」、うち太陽光発電を全電源の「23〜29%程度」まで引き上げる目標を掲げています。
目標達成には現在の導入量の約3倍規模の太陽光発電が必要とされ、その中でも「新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置(2030年目標)」という具体的な数値も示されました。

単価を下げ続けてきたのに、急に上げるなんて矛盾してないの?

実はそうでもないんです。10年間トータルで見ると、国民負担(再エネ賦課金)は従来方式とほぼ同水準になるよう設計されています。「総額は変えずに、受け取るタイミングを前倒しする」というのが新FITの本質なんですよ。
具体的には、初期投資支援期間の単価は「自家消費した場合に得られる経済メリット(電気料金相当額)を上回らない範囲」で設定されており、家庭用電気料金水準(27.31円/kWh)を超えないよう24円/kWhに抑えられています。
また、割引現在価値ベースで見た国民負担が従来方式より大きくならないよう調整されている点も、制度設計上の重要なポイントです。
太陽光発電を導入するかどうか迷っている方は、まず設置費用の相場感を押さえておくと判断がしやすくなります。あわせて太陽光発電の相場価格をぶっちゃけ公開もご参照ください。
旧FITとの違いを比較|何が変わった?

結論:単価が「一律」から「前半高・後半安」の2段階に変わりましたが、買取期間の長さは変わりません。
| 項目 | 旧FIT(〜2025年9月申請分) | 新FIT 初期投資支援スキーム(2025年10月申請分〜) |
|---|---|---|
| 単価の形式 | 10年間一律(2025年度上期は15円/kWh) | 1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh |
| 買取期間 | 10年間 | 10年間(変更なし) |
| 対象設備 | 屋根設置・地上設置とも対象 | 屋根設置のみが対象(地上設置は非対象) |
| 自家消費・余剰売電の前提 | 余剰売電70%・自家消費30% | 同左(変更なし) |
| 既存の認定案件への影響 | - | 遡及適用なし。すでに認定を受けた案件はそのままの単価が継続 |
ポイントは、新FITは「これから新規に申請・認定を受ける案件」だけに適用され、すでにFIT認定を受けている家庭には関係がないという点です。
「うちも急に単価が変わるのでは」と心配する必要はありません。
住宅用(10kW未満)の価格と適用条件を詳しく解説
結論:戸建て住宅の太陽光は、原則すべて新FIT(階段型)の対象になります。
2025年10月以降に事業計画認定を申請する10kW未満の住宅用太陽光発電は、原則としてこの階段型の単価が適用されます。

旧来のような「10年間ずっと同じ単価」を選ぶことはできません。
適用条件を整理すると、以下のようになります。
✅新FITの適用条件
- 屋根に設置する太陽光発電であること(地上設置・カーポート等は別区分)
- 出力10kW未満の住宅用であること
- 2025年10月1日以降に新規で事業計画認定を申請すること
- 自治体の補助金との併用は可能(国の制度と地方自治体の補助金は別建てのため)
蓄電池をあわせて導入する場合の経済効果や、自治体の補助金制度については、全国(各都道府県)の蓄電池補助金まとめで最新情報を確認しておくと、新FITとの組み合わせ効果を最大化しやすくなります。
事業用屋根設置(10kW以上)の価格と地域活用要件
結論:事業用も屋根設置に限り単価が引き上げられますが、自家消費30%以上の要件は継続します。
10kW以上50kW未満の事業用太陽光発電(屋根設置)についても、FITまたはFIPの選択制で新スキームが適用されます。
1〜5年目は19円/kWh、6〜20年目は8.3円/kWhとなり、20年間という買取期間自体は従来と変わりません。
FIPを選択した場合は、初期投資支援期間中のプレミアム収入を織り込んだ企業間PPA(電力販売契約)を組みやすくなるというメリットもあります。
ただし、10kW以上50kW未満の区分では、発電した電気の30%以上を自家消費するという「地域活用要件」が引き続き課されており、これを満たさないとFIT/FIPの新規認定を受けられません。
10kW前後の設置を検討している方は、太陽光発電10kW以上と10kW未満どちらがお得かもあわせて確認すると、容量ごとの経済性の違いがイメージしやすくなります。
【独自試算】新FITと旧FITでどれくらい差が出る?

結論:4kWの標準的な戸建てモデルで試算すると、新FITは導入初期の年間売電収入が旧FIT比で約1.6倍になります。
ここでは、条件を揃えたシンプルなモデルケースで、新FITと旧FIT(15円/kWh一律)の売電収入を比較してみます。
✅前提条件
- 太陽光発電容量:4kW
- 年間発電量:4,400kWh(1kWあたり年間約1,100kWhで試算)
- 余剰売電比率:70%(自家消費30%の前提どおり)
- 年間売電量:約3,080kWh
| 期間 | 旧FIT(15円/kWh)年間売電収入 | 新FIT 年間売電収入 |
|---|---|---|
| 1〜4年目(単年) | 約46,200円 | 約73,900円(24円/kWh) |
| 5〜10年目(単年) | 約46,200円 | 約25,600円(8.3円/kWh) |
| 10年間累計 | 約462,000円 | 約449,200円 |
※発電量は設置環境(方角・傾斜・地域の日照条件)によって変動するため、あくまで目安です。正確な数字は業者のシミュレーションで確認してください。
この試算からわかる重要なポイントは、10年間の累計売電収入で見ると新FITと旧FITはほぼ同水準という点です。
新FITは「同じ金額を早めに受け取れる」制度であり、「トータルの手取りが大きく増える」制度ではありません。
だからこそ、初期費用の早期回収や、5年目以降の自家消費シフトを見据えた蓄電池の追加導入など、受け取ったお金をどう使うかが重要になります。

じゃあ「得」というより「早く元が取れる」が正確ってことね。

その通りです。初期費用の早期回収は資金繰りの面でも安心材料になりますし、5年目以降は自家消費比率を上げる工夫をすることで、8.3円で売るより電気代を浮かせたほうがトクになるケースも多いんですよ。
家庭用太陽光の収益構造をもっと詳しく知りたい方は、家庭用太陽光発電はいくら儲かるのか【計算根拠付き】も参考になります。
新FIT vs 非FIT(自家消費+補助金)どちらが得?

結論:電気使用量が多い家庭や自治体補助金が手厚い地域では、非FIT(自家消費型)が有利になるケースもあります。
新FIT導入後、住宅用太陽光の経済モデルは大きく3つに整理できます。
✅新FIT後の住宅用太陽光の経済モデル
- 新FIT(売電メイン型):初期4年は高単価で売電し、早期に投資回収を図る
- 自家消費型+自治体補助金:FIT認定を受けず、発電した電気をできるだけ自家消費し、電気代削減効果と自治体補助金で回収する
- FIT+蓄電池のハイブリッド型:新FITで初期回収しつつ、5年目以降は蓄電池で自家消費率を高める
どちらが得かは、電気料金単価・電気使用量・自治体補助金の有無によって変わります。
目安としては、売電単価(新FIT後期は8.3円/kWh)よりも、ご家庭の電気料金単価(多くの地域で27〜30円/kWh程度)のほうが高いため、5年目以降は「売るより自分で使うほうが得」になりやすい構造です。
この点は、卒FIT(FIT期間終了後)の考え方にも通じます。
| 比較軸 | 新FITが向くケース | 非FIT(自家消費型)が向くケース |
|---|---|---|
| 日中の在宅・電力使用量 | 少ない(余剰が多く発生する) | 多い(自家消費で使い切れる) |
| 初期費用の早期回収ニーズ | 高い | 低い(長期でじっくり回収でよい) |
| 自治体補助金の充実度 | 補助金が少ない地域 | 補助金が手厚い地域 |
実際には、新FITで認定を受けたうえで、5年目以降に蓄電池を追加して自家消費率を引き上げるハイブリッド運用を選ぶ家庭も増えています。
電気代の節約効果を具体的に知りたい方は、蓄電池で電気代はどれくらい節約できるのか【計算根拠付き】をご覧ください。
新FITの4つのメリット
結論:最大のメリットは、初期費用の回収スピードが上がり、資金計画が立てやすくなることです。
✅新FITの4つのメリット
- 導入から4年間、旧FIT比で約1.6倍の単価で売電できるため、初期投資の回収が早まる
- 10年間の累計収入は旧FITとほぼ同水準を維持するよう設計されており、極端な目減りは生じにくい
- 自治体の補助金と併用できるため、初期費用そのものをさらに圧縮できる
- 事業用(FIP選択時)はPPAとの組み合わせで、企業の再エネ調達戦略に活用しやすい
新FITの4つのデメリット・注意点
結論:5年目以降の単価が大きく下がるため、後半の収支計画を見誤ると「思ったより儲からない」と感じやすい点に注意が必要です。
✅新FITの4つのデメリット
- 5〜10年目の単価は8.3円/kWhと、旧FIT(15円/kWh)より低くなるため、後半だけを見ると見劣りする
- 対象は屋根設置に限られ、地上設置(野立て)は新スキームの対象外
- 2025年10月より前にすでにFIT認定を受けている案件には遡及適用されない
- 「1.6倍でお得」という単価の一部だけを切り取った営業トークに惑わされず、10年間トータルの収支で判断する必要がある

営業さんに「今なら単価1.6倍でお得ですよ」とだけ言われたら、ちょっと注意したほうが良いんだね。

そうですね。単価が上がったのは事実ですが、それは「前倒し」であって「上乗せ」ではありません。5年目以降の単価もセットで説明してくれる業者かどうかは、信頼できるかどうかの見極めポイントになりますよ。
太陽光発電の導入で後悔しないためのチェックポイントは、「太陽光発電はやめとけ」は本当?専門家が明かす、後悔しないための新常識でも詳しく解説しています。
よくある誤解を訂正
結論:「単価が1.6倍=収入が1.6倍になる」という理解は誤りです。
新FITについては、SNSや一部の営業トークで誤解が広がりやすいポイントがいくつかあります。
✅よくある誤解
- 誤解1:単価が1.6倍になったから、太陽光の収益性そのものが上がった → 実際は「早期回収型」への設計変更であり、10年累計の収入は旧FITとほぼ同水準です。
- 誤解2:すでにFITで発電している人の単価も上がる → 新スキームは2025年10月以降の新規申請案件のみが対象で、既存契約には影響しません。
- 誤解3:地上設置の太陽光にも新単価が適用される → 対象は屋根設置に限定されており、地上設置(野立て)は従来の区分のままです。
- 誤解4:新FITを選ばなければならない → 2025年10月以降に新規申請する住宅用太陽光は、原則として新FITの単価体系が適用される仕組みであり、個別に「選ばない」という選択肢は基本的にありません(従来型の固定単価には戻れません)。
導入までの流れとスケジュールの目安

結論:現地調査から売電開始まで、一般的な戸建てでは4〜8ヶ月程度が目安です。
✅太陽光導入までの流れ
- 業者への相談・現地調査(屋根の形状、方角、日照条件の確認)
- 見積もり比較・設置プランの決定
- 電力会社との系統連系協議・契約
- 経済産業省への事業計画認定申請(新FIT適用には申請時期の要件あり)
- 工事・設置
- 売電開始
自治体の補助金を利用する場合は、国の認定手続きとは別に、予算枠や申請期限が設けられていることが多いため、早めの情報収集がスケジュール全体の鍵になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 初期投資支援スキームは、すでに太陽光を設置している我が家にも適用されますか?
A1. 適用されません。2025年10月1日以降に新たに事業計画認定を申請した案件のみが対象で、既存のFIT契約は従来どおりの単価が継続します。
Q2. 5年目以降、単価が8.3円まで下がるのはなぜですか?
A2. 卸電力取引市場の加重平均価格をもとに設定されており、制度による下支えがなくなった後の市場実勢に近い水準として位置づけられています。
Q3. 地上に設置する太陽光発電(野立て)にも新FITは適用されますか?
A3. 適用されません。初期投資支援スキームは屋根設置の太陽光発電に限定された制度です。
Q4. 新FITと自治体の補助金は併用できますか?
A4. 併用可能です。国の買取制度と自治体の設置補助金は別建ての制度のため、条件を満たせば両方を活用できます。
Q5. 2026年度も同じ単価が続きますか?
A5. 2026年度も住宅用は1〜4年目24円/kWh・5〜10年目8.3円/kWh、事業用屋根設置は1〜5年目19円/kWh・6〜20年目8.3円/kWhの水準が維持されています。今後の年度で見直される可能性はあるため、申請時点の最新情報を確認することをおすすめします。
Q6. 蓄電池を後から追加しても、新FITの単価に影響はありますか?
A6. 蓄電池の追加設置自体がFIT単価に直接影響することは基本的にありませんが、自家消費比率が上がることで売電量が減る点は考慮しておく必要があります。
まとめ-新FIT「初期投資支援スキーム」
新FIT「初期投資支援スキーム」は、屋根設置の太陽光発電を対象に、導入から4年間(住宅用)または5年間(事業用)の売電単価を高く設定し、初期費用の早期回収を後押しする制度です。
10年間トータルの収入は旧FITとほぼ同水準に設計されているため、「単価が上がった=丸儲け」ではなく、「同じ収入をより早く受け取れる」制度だと理解しておくことが大切です。
ご自宅の電力使用量や、お住まいの自治体の補助金制度によっては、新FITよりも自家消費型のほうが有利になるケースもあります。
まずはご自宅の屋根条件と電力使用量をもとに、複数社から見積もりとシミュレーションを取り、10年間トータルでの収支を比較したうえで判断することをおすすめします。


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