※2024年1月27日更新

家庭用の太陽光発電の保証内容を詳しく知りたいので、教えていただけないでしょうか。どんなことが保証で対応してくれるのか、保証対象外は何なのか知りたいです。
こんなお悩みにお答えします。
✅本記事の内容
・太陽光発電の保証内容の種類
・太陽電池の出力保証
・太陽光発電システムのシステム保証(機器保証)
・自然災害補償
・火災保険との併用
・工事保証での適用範囲
✅本記事の信頼性

✔太陽光発電メーカーに10年以上勤務(現役)
✔住宅用太陽光発電を月販200棟(2年以上継続中)
✔某大手ビルダーの営業担当(複数ビルダー担当)
太陽光発電の保証について、「何かトラブルがあったらメーカーが対応してくれるんじゃない!?」くらいで、理解されている方が多いのではないでしょうか?
この記事を読んでいただければ、太陽光発電の保証内容はどんなものがあるのか、それぞれの保証内容の中身はどんなものなのかをご紹介しますので、太陽光発電に関する保証について詳しく理解できるようになります。
太陽光発電の保証内容の種類

まず、太陽光発電の保証はどのような種類があるのか見ていきましょう。
✅太陽光発電の保証の種類
・太陽電池の出力保証
・太陽光発電システムの機器保証
・自然災害補償
・火災保険
・工事保証
太陽電池メーカーがつけている保証は「太陽電池の出力保証」と「太陽光発電システムの機器保証」が一般的です。
自然災害補償も太陽電池メーカーがつけているケースはありますが、火災保険と内容が被ってしまうこともあり、最近では自然災害補償はついていないケースも多くなっております。
工事保証は、太陽光発電を工事した会社がつけている保証です。

それぞれの保証がどういったときに活躍するのかを細かく見ていきましょう。
太陽電池の出力保証

まずは、太陽電池の出力保証について見ていきましょう。
太陽電池の出力保証は、太陽電池メーカーがかけている保証です。

太陽電池メーカーが定めている出力保証値よりも下回ったら、無償で太陽電池を交換もしくは修理する保証になります。
太陽電池の出力保証を理解する上で「出力保証の内容」と「出力保証の種類」の2つを理解する必要があります。
①出力保証の内容
まずは、太陽電池の出力保証の内容を見ていきましょう。
出力保証の内容は、かなり多くの方が誤解をされています。
✅太陽電池の出力保証のポイント
・発電シミュレーション値を保証しているものではない
・出力保証の定義はJISの基準に基づいている

いきなりわかりにくんだけど、嚙み砕いたらどういうこと?

決められた条件の中で、太陽電池が何W発電できるかを保証しているのが出力保証です。
ポイントは決められた条件下で何W発電できるのかという点です。
決められた条件というのが下記3つになります。
✅JISの基準
①太陽電池の表面温度が25度
②太陽光の日射量が1,000W/㎡
③太陽スペクトルAM(エアマス)1.5
①は太陽電池の表面温度が25度であることです。
②の日射量1,000W/㎡はかなり強い光の値です。
③の太陽スペクトルAM(エアマス)1.5は、太陽光が地上に届くまでに通過する大気の量をエアマスと言い、AMのあとの数字は通過する大気量が多ければ大きくなります。

つまり、この3つの条件が重なったときに太陽電池が何W発電するかを保証しているということです。

太陽電池を設置している時に、この3つの条件が重なることなんてあるの?

正直、屋根に設置した状態で3つの条件が重なることはほぼありません。
太陽電池の出力保証が適応されるかどうかを確認するためには、3つの条件が出せる専門の研究機関に持って行って太陽電池の出力を測らないとわからないというのが現実です。

だったら、出力保証が適応されるのか調べるのにもお金が必要ってこと?

研究機関に持って行って出力保証値よりも下回っていたら、太陽電池メーカーが全額負担になりますが、出力保証値を下回っていなかったら太陽電池の取り外しや配送費、再設置の費用はお客様の実費です。
つまり、太陽電池の出力保証を実証するためにお客様がかなりのリスクを背負って調べる必要があるため、現実的には出力保証が使われるケースは極めて少ないということになります。

出力保証は、あってないようなものね。。。

そのように言われても仕方がないところもありますが、太陽電池メーカーとしては出力保証の値をどうするのかは実際の太陽電池の実証実験を確認した上で設定しています。
太陽電池の出力保証値が良いところは、長い間で元気に発電してくれる太陽電池だと1つの判断材料にするのは良いです。
太陽光発電の営業をしていると、お客様から「太陽電池の出力保証って、どれくらい発電量が下がったら保証してくれるんですか?」と聞かれます。

今までの説明でも理解いただいたように残念ながら、太陽電池がどれくらい発電をするか保証するものではありません。
どれくらい発電するのか参考にするために「発電シミュレーション」があります。
発電シミュレーションは、下記のようなものです。

発電シミュレーションは設置する場所の日射量などを加味して算出された発電量になります。
ある程度は実発電量と近い発電量になるようにシミュレーションソフトを作成されておりますが、出力保証は発電シミュレーションの発電量を保証するものではありません。
発電シミュレーションについて詳しく知りたい方は、「太陽光発電の発電シミュレーション」の記事を覗いてみてください。

補足としては、太陽電池の出力が落ちているケースは稀で、昔は某中国メーカーの太陽電池で急激に出力が劣化した事例がありました。ただ、今は性能も上がり、急激な出力劣化をする太陽電池はほとんどないと言っても良いくらいどの太陽電池パネルも性能が高いです。
②出力保証の種類
続いて、出力保証の種類は「リニア保証」と「階段型の保証」の2つがあります。
①リニア保証
1つ目は、リニア保証です。
リニア保証は、保証開始から年度ごとに少しずつ出力保証値を下げていく保証のことを言います。


リニア保証は、外資系の太陽電池メーカーで多く採用されている出力保証になります。
日本以外の外資系の太陽電池メーカーの出力保証は、リニア保証が一般的で保証期間が長いのも特徴です。
保証初年度で▲2~3%を下限値として保証し、2年目以降は▲0.5%程度を下限値として25年まで保証する内容になっています。(※各メーカーによって多少誤差はあります。)
②階段型の保証
2つ目は、階段型の保証です。
日本で多いのは、階段型の出力保証になります。
下記の図のように、10年間は90%を保証、それ以降の11年目から20年まで81%保証というものです。(※こちらも、各メーカーによって多少誤差はあります。)

出力の保証値としては、一般的にリニア保証よりも低くなっております。

あまり知られていないのが「パネル1枚1枚の保証なのか」もしくは「発電所全体としての保証なのか」という点です。
パネル1枚1枚の保証でない場合は、下記のようなケースでも保証対象外になります。
✅例えば、3kWの太陽光発電システム(保証開始5年目)の場合
1枚300Wの太陽電池を10枚設置した3kWの発電所の中で、1枚だけ半分の150Wしか発電しない太陽電池があったとしても、2.85kW発電の90%以上の発電なので出力保証の対象外
パネル1枚1枚の保証の場合は、該当の1枚は交換される対象となります。
※細かな保証内容は、購入予定の太陽電池メーカーもしくは販売店に確認するようにしましょう。
太陽光発電システムの機器保証

次に、太陽光発電システムの機器保証を見ていきましょう。
太陽光発電システムの機器保証も、太陽電池メーカーがかけている保証になります。
機器保証とは、太陽光発電システムの機器に何かトラブルや不具合があった場合に適用される保証のことです。
対象機器 | 保証期間 |
太陽電池 | 連系日から10年もしくは15年 |
接続箱 | 連系日から10年もしくは15年 |
パワーコンディショナ | 連系日から10年もしくは15年 |
太陽電池の取付金具 | 連系日から10年もしくは15年 |
ケーブル類 | 連系日から10年もしくは15年 |
モニター関連 | 連系日から1年 |

太陽電池メーカーによって、10年もしくは15年と保証期間が異なります。
対象機器の中で、不具合が比較的に起こりやすい機器は「パワーコンディショナ」です。
パワーコンディショナは、太陽光発電システムの中で心臓部分と言われるくらい重要機器になります。
パワーコンディショナの寿命は10年~15年になるので、15年の機器保証をしているメーカーはオススメです。
※ちなみに、モニターの保証はどのメーカーも1年保証しかかけておりません。
機器保証が適用されるまでの流れ
次に、機器保証が適用されるまでの流れを見ていきましょう。
機器不具合だと思って、全てが機器保証で対応してくれるとは限らないため、どのような場合に機器保証が適用されるのか、具体的な流れを抑えておきましょう。
✅機器保証が適用されるまでの流れ
①機器異常を確認して、販売店(メーカー)に連絡
↓
②販売店が異常機器の写真入手や、現地確認
↓
③販売店からメーカーに連絡が来て、機器の異常状況の確認
↓
④メーカーが現地確認、製品不具合かどうかの検証
↓
⑤機器の不具合であれば、無償交換
(※機器異常ではなく施工起因であれば、販売施工店が復旧対応)
⑤までの流れの中で、販売店が不具合の原因特定をして不具合が直せる可能性もありますが、原因が特定できない場合は、メーカーが現地に訪問して対応する流れとなります。
ただし、メーカーが現地に行って不具合の原因が製品にない場合は、出張費が取られるケースがあります。

機器不具合でない場合は、ほとんどが施工が原因のため、その時は販売施工店が費用負担をすることになります。

機器不具合なのか、施工不備なのかでどこが対応してくれるかが変わるということね。
そうですね。いずれにしても何か太陽光発電がおかしいと思った場合は、購入した販売店に連絡をして対応してもらいましょう。
お客様が故意に機器を故障させた場合は実費になりますが、それ以外であれば機器保証もしくは販売施工店の工事保証で不具合を直す形です。
機器保証が適用された時の対応とは?
次に、機器保証が適用された場合の対応方法を見ていきましょう。
対応方法は、大きく2つあります。
✅機器保証が適用された時の対応方法
①現地訪問(もしくは機器解析)をして、修理対応をする方法
②現地訪問や機器解析はせずに、機器のみを現地に送る方法
①は、国内機器メーカーの一般的な対応方法になります。
先ほどお伝えした「機器保証が適用されるまでの流れ」は「①現地訪問(もしくは機器解説)をして、修理対応をする方法」のことです。
最近、海外メーカーが②の対応をするところが増えてきております。

機器不具合が発生したときに何が原因だったのか知りたい方は、太陽光発電を購入する前にどのような機器保証なのかを確認しておきましょう。
自然災害補償

次に、自然災害補償の内容について見ていきましょう。
自然災害補償は、太陽電池メーカーが無償(もしくは有償)でかけている補償になります。
自然災害や人工災害が起こったときに機器を復旧、修理をする補償です。
✅自然及び人工災害とは具体的に何か
人工災害:火災、破裂、爆発、盗難、建物外部からの物体衝突、落下、飛来
自然災害:落雷、風災、雪災、ひょう災、竜巻、水災

一般的に、自然災害補償に入っていない災害は、「地震」、「津波」、「噴火」、「虫の害」等です。
補償年数としては、10年もしくは15年のいずれかになります。
対象機器 | 保証期間 |
太陽電池 | 連系日から10年もしくは15年 |
接続箱 | 連系日から10年もしくは15年 |
パワーコンディショナ | 連系日から10年もしくは15年 |
太陽電池の取付金具 | 連系日から10年もしくは15年 |
ケーブル類 | 連系日から10年もしくは15年 |
モニター関連 | 連系日から10年もしくは15年 |

メーカーによって、無償で自然災害補償をつけているところもありますが
有償対応のメーカー、もしくは自然災害補償はついていないところもあります。

台風とかで家が壊れたり、太陽電池が飛んで人やモノに危害を加えても費用を負担してくれるの?
自然災害補償は、あくまで太陽電池メーカーが販売した機器にのみ適用される補償のため、台風で太陽電池が飛んで人やモノに危害を加えても、その危害に対する補償は適用されません。
多くの方が勘違いされているポイントなので、自然災害補償はあくまで太陽光発電システムの機器にのみ適用される補償ということを認識しておきましょう。
火災保険との併用

次に、太陽光発電の火災保険を見ていきましょう。
太陽光発電は、建物の一部とみなされるために火災保険の適用ができます。
多くの方は、住宅購入時に火災保険に入られているケースが多いと思います。
お客様自身が保険屋と契約している火災保険に太陽光発電の補償も加えることができます。

自然災害補償と火災保険でかぶってしまうのね。

必ずしも今入られている火災保険で太陽光発電の災害保険が組み込まれているかは保険内容にもよるため、事前に確認しておきましょう。
火災保険でも太陽光発電の災害補償が組み込まれている場合は、二重で保険がかかる形になりますが、下記を確認しておきましょう。
✅火災保険と太陽光発電メーカーの自然災害補償を併用する際のポイント
①太陽電池メーカーの自然災害補償の内容と上限額の確認。
②①で足りない補償額を現在加入されている火災保険で対応できるか
太陽光発電システムのみ災害で被害にあっている場合は、太陽電池メーカーの自然災害補償で修理及び交換をしてもらうことが一般的です。
ただし、家にも危害がある場合は火災保険で修理を進める方が現実的になります。
太陽電池メーカーの自然災害補償がある場合は、状況を見てどちらで修理を進めていくのか判断していきましょう。
工事保証での適用範囲

次に、工事保証について見ていきましょう。
工事保証は、太陽光発電の工事をした施工店がつけている保証になります。
設置した太陽光発電の工事に関する不備があった際に工事保証で修理をする流れです。
工事保証の具体的な適用範囲は、下記になります。
✅工事保証の具体的な適用範囲
・太陽光発電システムによる雨漏り
・太陽電池パネルの落下
・太陽光発電システムによる漏電
・その他の太陽光発電の電気工事の不具合
施工不備はあってはならないことですが、万が一の不備に対して工事店の保証で修理させることができます。
ただ、対応される工事店がどのような保証に入っているかは事前に確認しておきましょう。

工事保証の年数は、工事店によりますが1年のところと10年のところがあります。
悪徳な施工店の場合は、工事保証に入っていないケースもあるので注意が必要です。
まとめ-太陽光発電の保証

今回は、太陽電池メーカーの保証内容をお伝えしました。
誤解されている方や知らなかった方もいるのではないでしょうか。
改めて、太陽光発電の保証内容はどんな種類があったのかおさらいしておきます。
✅太陽光発電の保証の種類
・太陽電池の出力保証
・太陽光発電システムの機器保証
・自然災害補償
・火災保険
・工事保証

太陽光発電は設置してから20年以上も使い続けられる商品になりますので、しっかりと保証内容を理解して出来るだけ長く太陽光発電の恩恵を受けられるようにしましょう。
太陽電池の出力保証や太陽光発電システムの機器保証は、太陽電池メーカーへ保証申請が出来ていないと保証が受けられないケースもあります。
太陽光発電を購入した後に販売店に保証申請がされているのか、また保証書(保証書データ)がお客様の手元にあるのかを確認しておきましょう。
不測の事態でもしっかりと使える保証を使って、快適な生活を送っていきましょう。
※今なら見積依頼と商談で5,000円プレゼント実施中
コメント