※2023年12月17日更新
パナソニックのV2Hシステムの「eneplat」ってどんな特徴があるの?他のV2Hシステムと比べてメリットデメリットが何なのか知りたいです。
こんなお悩みにお答えします。
✅本記事の内容
・パナソニックのV2Hシステム「eneplat」の基本スペック
・eneplatのメリット
・eneplatのデメリット
・こんな方に、eneplatがオススメ
・eneplatの経済効果(節電効果)
・eneplatの相場コスト
✅本記事の信頼性
✔太陽光発電メーカーに10年以上勤務(現役)
✔本業で、V2Hを販売中
✔複数のV2Hの情報収集、比較検証済み
パナソニックのV2Hシステム「eneplat」が他のV2Hシステムと比べて、どのような点が良いのか、または悪いのかわかりにくいですよね。
この記事を読んでもらえれば、eneplatの基本的なスペックやメリットデメリット、eneplatはどんな人にオススメなのかが理解できるようになります。
パナソニックのV2Hシステム「eneplat」の基本スペック
まずは、eneplatの基本スペックをみていきましょう。
品名、型番 | ①パワーステーション(LJRE31B)※一般仕様 ②V2Hスタンド(LJV1671B) |
入出力 | 連系時:6kW未満 自立時:6.0kVA未満(片相3kVA) |
外形寸法(幅×高さ×幅) | ①パワーステーション:525×770×162㎜ ②V2Hスタンド:420×1,250×210㎜ |
質量 | ①パワーステーション:35kg ②V2Hスタンド:55kg |
使用周囲温度 | ‐20℃~+50℃ |
設置環境 | 屋外 ※重塩害対応品もオプション可能 |
V2Hの入出力は、6kW対応で一般的なV2Hシステムの3kWと比べて倍速充電が可能です。
最大の特徴は、太陽光発電で発電した電気を蓄電池と電気自動車に同時に充電ができて、蓄電池と電気自動車から自宅に同時に放電できる点です。
V2Hシステムの大手メーカーであるニチコン製のV2Hシステムでは、太陽光発電で発電した電気は、「蓄電池」もしくは「電気自動車」のどちらに優先的に充電させるか決める必要があります。
また、家への放電でも「蓄電池」もしくは「電気自動車」のどちらから放電させるか決める必要があります。
たくさんの太陽光発電が使えたり、たくさんの電気を使う家にはeneplatのV2Hシステムが良いということね?
そうですね。多くの電気を一度に充放電できるのがeneplatの最大の特徴です。
また、太陽光発電が多く設置できる方であればeneplatのV2Hシステムの方が自家消費率が高く経済効果が高いということも言えます。
eneplatのメリット
次に、eneplatのメリットを見ていきましょう。
✅メリット
・蓄電池とV2H同時に充放電が可能
・充放電の電力ロスが少ない
・太陽光発電に合わせた蓄電池容量が選べる
メリット①:蓄電池とV2H同時に充放電が可能
1つ目のメリットは、蓄電池とV2H同時に充放電が可能な点です。
先ほどもeneplatの最大の特徴として紹介した内容ですが、具体的にどのような電気の動きになるか見ていきます。
太陽光発電の電気を同時充電できない場合は、左側の絵にあるように①蓄電池に充電、②電気自動車に充電の流れになってしまいます。
太陽光発電が多く発電できた場合でも一部の電気は安い単価で売電せざるを得ないということです。
ご存じの方も多いですが、今や太陽光発電の電気は売電させるよりも貯めて使う方が経済的にお得になっています。
下絵の通り、買取(売電)単価は2024年で16円/kWhですが、電気料金から購入する買電単価は平均すると30円/kWh以上に上がっております。
太陽光発電の電気を効率良く使うためには、蓄電池や電気自動車の活用が欠かせません。
具体的にどれくらいの太陽光発電を設置している家ならeneplatの同時充電の恩恵が受けられるの?
蓄電池に少なくとも2kW、V2Hに6kWの充電が同時に可能なので、具体的には太陽光発電が3kW以上設置できる家であれば同時充電の恩恵が受けられます。
逆に、太陽光発電が3kW未満しか設置できないのであれば、同時充電の恩恵はあまり受けられません。
太陽光発電を3kW設置しても、3kW発電することは1年を通してもほとんどありません。
理由は、気温(25℃)や太陽光の強さ(1000W/㎡)などの条件が合う日が少ないからです。
晴れている日でも太陽電池容量の7割か8割くらいの発電が一般的になります。
3kWの太陽光発電なら、晴れた日で7割や8割の発電で2kW以上発電するという計算ってことね。
そうですね。eneplatのV2Hシステムの特徴だけでなく、太陽光発電が何kW設置できるかによっても自分に合ったV2Hなのかを探るヒントになります。
自宅にどれくらいの太陽光発電が設置できるのか目安を知りたい方は、「家庭用太陽光発電の設置に必要な面積」の記事を覗いてみてください。
メリット②:充放電の電力ロスが少ない
2つ目のメリットは、充放電の電力ロスが少ない点です。
eneplatを含む配線図を見てもらうとイメージがつきやすくなります。
見るべきポイントは、青い線で太陽光発電で発電した電気は蓄電池やV2Hスタンドに全て直流電力で流れている点です。
他のV2Hシステムの多くは、太陽光発電で発電した直流電力を住宅分電盤を経由して充電されるものになります。
つまり、「直流電力」から「交流電力」への変換、さらにV2Hから電気自動車には「交流電力」から「直流電力」に変換されます。
直流と交流の電力変換の際に電力ロスが発生してしまうので、全て直流で電気を供給できるeneplatは効率が良いです。
メリット③:太陽光発電に合わせた蓄電池容量が選べる
3つ目のメリットは、太陽光発電に合わせた蓄電池容量が選べる点です。
3.5kWhから最大で13.4kWhまでの蓄電池を選ぶことができます。
太陽光発電と蓄電池とV2Hシステムの相性はかなり重要です。
例えば、太陽光発電が4kWしか設置できないのに、蓄電池を10kWh以上の設置しても蓄電池や電気自動車に太陽光発電の電気だけでは充電ができません。
夜間の深夜電力から蓄電池や電気自動車に充電も可能ですが、少なくとも太陽光発電で発電した電気を蓄電池に満充電させられる程度の蓄電池容量を選ぶことがベストです。
各ご自宅の屋根に合わせた蓄電池容量を選べる点は、幅広いニーズに応えられるシステムになっています。
eneplatのデメリット
次に、eneplatのデメリットを見ていきましょう。
✅デメリット
・コストが高い
デメリット①:コストが高い
大きなデメリットがコストが高い点です。
そもそも、V2Hシステムまで購入するとなると高額な買い物になってしまいますが、他V2Hと比べてもコストがかなり高いです。
V2Hシステムとして、太陽光発電の電気を蓄電池やV2Hに同時充電ができたり、蓄電池やV2Hシステムから同時放電できる機能は素晴らしいのですが、その分コストが高額になっています。
でも、V2Hには補助金が出ているんじゃないの?
そうですね。V2Hには国から補助金が毎年出ているので、今からであれば「CEV補助金の令和5年度の補正予算」が使える可能性が高いです。
V2H機器に対して機器費用の1/2の補助(上限75万円)がでます。
また、工事費も上限40万円が出るお得な補助金になります。
※eneplatがCEV補助金の対象機器になっているかは要確認です。
こんな方に、eneplatがオススメ
次に、eneplatがどんな方にオススメなのかをお伝えします。
✅eneplatをオススメしたい人
・太陽光発電を5kW以上設置できる方
・昼間に電気自動車が家にある方
・電気をたくさん使う家庭
普段から電気を多く使っている家庭で、太陽光発電も5kW以上設置できる方にはeneplatを導入することで大幅に電気代削減が見込めます。
他V2Hシステムと比べるとeneplatは初期費用がかかってしまいますが、太陽光発電を多く設置できる方にとっては長期的に見ればeneplatは経済的にお得です。
太陽光発電があまり設置できない、そこまで電気を多く使わない方は安いV2Hシステムでも十分お得な生活ができます。
もう少し安価なV2Hシステムが欲しいという方は、Qセルズ(ニチコンOEM品)の「Q.READY」をオススメします。
eneplatの経済効果(節電効果)
次に、eneplatを購入した場合にどれくらいの経済効果(節電効果)が得られるのかを見ていきましょう。
7kWの太陽光発電+3.5kWh蓄電池+V2H(電気自動車)を組み合わせた時の経済効果は、15年間で4,090,729円になります。
15年間にしている理由は、eneplatの保証年数が15年間ついているためです。
電力会社ごとに電気料金プランが異なりますので、今回は東京電力の「スマートライフプラン」を元にエネがえるの長期シミュレーションで経済効果を見ていきます。
計算根拠がわからないし、具体的にどんなシミュレーションになっているの?
下記の条件で計算をしております。
✅経済効果シミュレーションの条件
- 7kWの太陽光発電を設置
- 東京都在住
- 片働き世帯で、昼間も電気を使う
- 1ヶ月の電気使用量は600kWh
- 電気料金プランは、スマートライフプラン
- 太陽光発電の設置は2024年度(つまり売電単価は16円/kWh)
- 蓄電池は3.5kWh
- 電気料金の上昇率は2%
- 電気自動車の年間走行距離は12,000km
- 12,000kmの内、平日は3,000km(夕方16時~18時買物を想定)、休日は9,000km(9時~20時ドライブを想定)走行
- 現在はガソリン車(15km/L)、ガソリン代は180円/L
- 買い替える電気自動車は日産自動車(アリアB6リミテッド)
- V2Hの放電設定は20時~0時、充電設定は夜間1時~2時
7kWの太陽光発電を想定しているので、屋根は45㎡程度ある大きな家の設定にしております。
また、平均的な家庭であれば1ヶ月の電気使用量は400kWhなので、多くの電気を使っている家庭です。
シミュレーション条件はわかったけど、何がどう削減できるの?
太陽光発電の無料の電気で、「家庭内で使う電気代の削減」と「ガソリン車で使っていたガソリン代」が削減できるようになります。
太陽光発電と蓄電池と電気自動車を導入する前では、使った分のガソリン代(12,000km/年)と電気代(7,200kWh/年)がそのまま負担額となります。
電気自動車を購入するので、ガソリン代がかからなくなることと太陽光発電による節電と売電が見込める形に変わります。
太陽光発電によって電気代は大幅に削減できますが、電気自動車や家庭内の電気使用状況によっては電力会社から電気の購入は必要です。
ただ、太陽光発電は何kW設置できるのか、蓄電池は何kWhの容量なのか、電気自動車はどの機種なのか、普段の電気使用状況や電気自動車の使用状況に応じて、経済効果は大きく変わります。
eneplatの相場コスト
次に、eneplatの相場コストを見ていきましょう。
太陽光発電+eneplat(トライブリッドパワコン+蓄電池+V2H)の相場コストは、工事込み500万円程度です。
先ほどの経済効果シミュレーションと見比べると18年程度でeneplatの費用は回収できることになります。
いきなり500万円のお金は払えないからローンを組んだらどうなるのか教えてくれない?
実際に、V2Hシステムや蓄電池を現金で購入される方は少なく、ローンを組んで購入される方がほとんどです。
✅ローンのシミュレーション条件
・太陽光+eneplat(パワコン+蓄電池+V2H)を購入
・購入金額は5,000,000円
・頭金なし
・ボーナス支払いなし
・支払い年数は15年(180ヶ月)
・ローン年率2.45%
仮に5,000,000円でeneplatを購入する場合は、毎月33,221円/月(15年間)で分割払いする形になります。
ただし、毎月の光熱費削減額が35,155円あるため、実質は毎月1,934円お得になるということです。
もちろん、初期費用を5,000,000円以下にできれば毎月のローン返済額も少なくすることが可能です。
初期費用を確実に下げられる禁断の方法をお伝えします。
✅確実に安く蓄電池を買う方法
①業界最安値の宣言をしている販売店に見積依頼をする
②見積依頼時に使える補助金がないか販売店に確認する
③補助金の代行申請をしてもらうことを条件に購入する
太陽光発電と蓄電池とV2Hシステムは「本当は安く買えるのに高く買わされている人が多い」と本業でも感じているので、最も安く買える方法で皆さんは買ってください。
今すぐに見積を取らなくても良いと思っている方もいると思いますが、蓄電池やV2Hの相場価格を知るため、そして将来購入する際の比較見積としても使えるので、オススメしています。
まとめ‐パナソニックのV2Hシステム「eneplat」
今回は、eneplatについてお伝えしました。
改めて、eneplatのメリットデメリットを見ておきましょう。
✅メリット
・蓄電池とV2H同時に充放電が可能
・充放電の電力ロスが少ない
・太陽光発電に合わせた蓄電池容量が選べる
✅デメリット
・コストが高い
電気代が高くて困っている方で太陽光発電を多く設置できる方にはオススメしたい商品です。
太陽光発電の有効活用をする上で、eneplatはかなり相性の良いシステムになります。
少なくとも、太陽光発電は設置しておかないと今後も電気代が高騰し続けますので、家計にかなりの負担になってしまいます。
実際に、2023年6月に多くの電力会社で電気代の値上げが実施されました。
また、国の電気代軽減策(▲3.5円/W)は2024年5月で完全に終了するため、全ての電力会社で電気代が値上げになることは確実です。
早めに太陽光発電を設置して、経済的にお得な生活をするようにしましょう。
コメント