※2024年2月12日更新
家庭用蓄電池の購入を検討していますが、どのように選んでいけば良いのかわからないので、手順を追って蓄電池の選び方を教えていただけないでしょうか。
こんなお悩みにお答えします。
✅本記事の内容
・家庭用蓄電池の選び方の大前提
・【選び方手順①】最適な蓄電池の容量を選ぶ
・【選び方手順②】停電時の対策で選ぶ
・【オプション】蓄電池の保証年数や寿命で選ぶ
・【オプション】蓄電池の設置場所で蓄電池を選ぶ
・【オプション】住んでいるエリアで蓄電池を選ぶ
✅本記事の信頼性
✔太陽光発電メーカーに10年以上勤務(現役)
✔本業で月に10台以上の蓄電池販売を継続
✔全蓄電池をチェック済
家庭用蓄電池は、ラインナップも多くて蓄電池ごとに機能も異なっているので、どれを選んだら良いのかわからないですよね。
この記事の蓄電池の選び方の大前提、選び方手順①②を見てもらえれば、あなたに合った蓄電池がどれなのかがわかるようになります。
家庭用蓄電池の選び方の大前提
まず、家庭用蓄電池の選び方の大前提をお伝えします。
太陽光発電が設置されているかどうかによって、蓄電池の選び方は大きく変わります。
大前提を理解せずに蓄電池を選んでしまうと、非効率で無駄の多い蓄電池を買ってしまう可能性があります。
✅家庭用蓄電池の選び方の大前提
・太陽光発電を設置済の方⇒単機能型蓄電池
・太陽光発電と蓄電池をこれから設置予定の方⇒ハイブリッド蓄電池
・マンションやアパートにお住まいの方⇒スタンドアロン蓄電池
太陽光発電を設置済の方は単機能蓄電池を選ぶようにしましょう。
ただし、太陽光発電を設置して10年近く経つ方はハイブリッド蓄電池がオススメです。
太陽光発電のパワーコンディショナの寿命は10年~15年のため、パワーコンディショナの交換を見越してハイブリッド蓄電池にするのが一般的になります。
太陽光発電をそもそも設置できないアパートやマンションにお住まいの方は、スタンドアロン蓄電池を選んでください。
「単機能」と「ハイブリッド」と「スタンドアロン」の意味がわからないのだけど、どんな特徴があるの?
「単機能」と「ハイブリッド」は太陽光発電と組み合わせができる蓄電池で、「スタンドアロン」は太陽光発電と組み合わせしないコンセントから充電するタイプの蓄電池です。
「単機能」と「ハイブリッド」の違いは、下絵を見ればイメージしやすいと思います。
「単機能」は太陽光発電のパワーコンディショナと蓄電池用のパワーコンディショナを併設させて接続する蓄電池です。
一方、「ハイブリッド」は太陽光発電と蓄電池用の一体型のパワーコンディショナと接続する蓄電池のことになります。
太陽光発電を設置して数年くらいだったら、太陽光発電用パワーコンディショナの寿命がまだあるから単機能型蓄電池で良いということね。
そうですね。設置して間もない場合は、まだまだ太陽光発電用パワーコンディショナは使えるのでハイブリッド蓄電池にしてしまうのはモッタイナイですね。
蓄電池の選び方の大前提は、「単機能型」「ハイブリッド型」「スタンドアロン型」のどの蓄電池を選べば良いかということになります。
大前提を理解しておくことで蓄電池の選び方で大失敗することが避けられます。
【選び方手順①】最適な蓄電池の容量を選ぶ
次に、蓄電池の選び方で重要なのはベストな「蓄電池の容量」を確認することです。
家庭用蓄電池の容量は2kWh~16kWhと、小さいものから大きなものまで様々な容量があります。
下記の手順に沿って確認すれば、あなたにベストな蓄電池容量が理解できるようになります。
✅最適な蓄電池容量の確認方法
ステップ1:1日当たりの太陽電池の発電量を確認する
ステップ2:1日当たりの太陽光発電の売電量を確認する
ステップ3:1日当たりの電力会社からの電気の購入量を確認する
ステップ4:「ステップ1~3で最も小さい値」÷0.8=ベストな蓄電容量
なんか難しくて全然わからないんだけど。。
言葉だけだとわかりにくいので、具体的に下記を例にして計算してみましょう。
✅設定条件
太陽電池容量:4kW
4kWの年間発電電力量:4,500kWh
自家消費と売電の割合:自家消費30%、売電70%
自家消費の年間電力量:1,350kWh
売電の年間電力量:3,150kWh
年間の電力会社から購入する電力量:2,400kWh
年間の発電電力量は一般的に太陽電池容量の約1,100倍が相場です。
また、太陽光発電の発電量の自家消費と売電の比率は、共働き世帯を想定(昼間に家にいない想定)して売電を70%にしています。
年間の電力会社から購入する電力量は、太陽光発電を設置していない4人家族の一般家庭の平均が400kWh/月のため、半分の200kWh/月×12ヵ月としてます。
✅最適な蓄電池容量の計算方法
ステップ1:4,500kWh/年÷365日=12.3kWh/日(1日の発電量)
ステップ2:3,150kWh/年÷365日=8.6kWh/日(1日の売電量)
ステップ3:200kWh/月÷30日=6.6kWh/日(1日の買電量)
ステップ4:6.6kWh÷0.8=8.25kWh
今回のケースだと、8.25kWhがベストな蓄電池容量です。
ステップ4で0.8で割っているのは何か意味があるの?
蓄電池容量の80%程度しか、実際に充電と放電ができないものが多いので0.8を割っています。
今回の蓄電池容量の算出方法は、太陽光発電の容量と普段の電気の使い方を加味してベストな蓄電池容量を算出しております。
つまり、オーバースペックでもなくスペック不足にもならないベストな蓄電池容量がわかる方法です。
ここまでで、蓄電池の種類(単機能、ハイブリッド)と蓄電池の容量のベストが理解できたことになります。
ちなみに、蓄電池容量ごとの記事を確認したい方は下記リンクから詳細ページを確認することができます。
今回の8kWhの蓄電池はないの?
該当する蓄電池容量がない場合は、近い蓄電池容量のものを選んでください。
将来的に今よりも電気を使う量が増えそうであれば容量の大きいもので、今よりも使う電気が少なくなるようであれば容量の小さいものがオススメです。
蓄電池容量 | 2kWh |
蓄電池容量 | 3kWh |
蓄電池容量 | 4kWh |
蓄電池容量 | 5kWh |
蓄電池容量 | 6kWh |
蓄電池容量 | 7kWh |
蓄電池容量 | 8kWh |
蓄電池容量 | 9kWh |
蓄電池容量 | 10kWh |
蓄電池容量 | 11kWh |
蓄電池容量 | 12kWh |
蓄電池容量 | 13kWh |
蓄電池容量 | 14kWh |
蓄電池容量 | 15kWh |
蓄電池容量 | 16kWh |
各蓄電池容量でどんな蓄電池があるのか気になる方も覗いてみてください。
【選び方手順②】停電時の対策で選ぶ
次に、停電時の対策を考慮した蓄電池の選び方を見ていきましょう。
これを見ることで、最終的にどんな蓄電池がベストなのかが明確に理解できるようになります。
蓄電池の使用目的の中で、停電対策を重視している方は今回の停電時の電気の使い方を想定して蓄電池を選ぶようにしましょう。
✅停電時を想定した生活レベルを確認
ステップ1:必要最低限の家電だけ使えたら良いか
ステップ2:停電時は何日くらいの電気を貯めておきたいか
そもそも使いたい家電がどれくらいの電気を消費するのかもわかってないんだけど。。
一般的な停電時の家電の使い方のモデルケースを下記で確認してみましょう。
この絵からわかることは、「1日に5,100Wh(5.1kWh)の電気を使っていること」と「100V機器だけでなくて200V機器も使っていること」です。
5.1kWhの電気を使っているということは、当たり前ですが5.1kWh以上の蓄電容量の蓄電池が必要ということになります。
また、2日間の停電を想定すると10.2kWh(5.1kWh/日×2日分)の蓄電池が必要です。
蓄電池の容量が0になっても天気が晴れていたら家電は使えるの?
はい、使えます。太陽光発電で発電した電気は蓄電池を経由して家電に電気が流れるので、使用することが可能です。
停電発生時から雨天が続いていた場合は、蓄電池の残容量だけで生活する必要があります。
電気機器の一般的な消費電力を纏めておりますので、停電時に使いたい機器を選ぶことでどれくらいの蓄電容量の蓄電池が必要か参考にしてみてください。
電気機器 | 消費電力 |
IHクッキングヒーター | 1400~3000W |
エアコン | 300~1000W |
食器洗浄機 | 1100~1300W |
電子レンジ | 1000~1500W |
電気ポット | 900~1300W |
洗濯機(乾燥時) | 600~1200W |
ドライヤー | 600~1200W |
掃除機 | 850~1000W |
こたつ | 300~600W |
ファンヒーター | 10~450W |
洗濯機(洗濯時) | 200~400W |
冷蔵庫 | 100~300W |
テレビ(液晶) | 100~200W |
デスクトップPC | 100~300W |
ノートPC | 50~100W |
加湿器 | 10~40W |
電気毛布 | 50~80W |
空気清浄機 | 10~70W |
また、停電時に200V機器も使いたい場合はハイスペックな蓄電池が必要になります。
停電時に使いたい機器によって、蓄電池のタイプが分かれます。
✅蓄電池のタイプ
特定負荷タイプ:停電時に100V機器だけ使える
全負荷タイプ:停電時に200V機器と100V機器全てが使える
100V機器だけ使えたら良い方には特定負荷タイプの蓄電池ですが、200V機器も使いたい方は全負荷タイプの蓄電池が必要です。
停電時にどんな生活をしたいかがわかれば、「蓄電容量」と「蓄電池タイプ(特定負荷タイプか全負荷タイプ)」を絞ることができます。
ここまでが、蓄電池の選び方で重要なポイントでした。おさらいをしておきましょう。
✅蓄電池の選び方のおさらい
・まずは、「単機能」「ハイブリッド」「スタンドアロン」を選ぶ
・次に、平常時に太陽光発電と使用電力量から「蓄電容量」を決める
・最後に、停電時の生活を想定して「蓄電容量」と「蓄電池タイプ」を選ぶ
蓄電池の選び方の手順に沿って、あなたにベストな蓄電池がどんなものなのかがわかったと思います。
もう少し纏めると下記のいずれかに必ず該当する蓄電池があり、その中で蓄電池容量がお客様ごとに異なるという形になります。
次の項目からは、蓄電池の選び方として必須ではありませんが選ぶポイントにしても良い内容を3つ紹介していきます。
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蓄電池の保証年数や寿命で選ぶ
それでは、保証年数や寿命で蓄電池を選ぶポイントを見ていきましょう。
蓄電池の保証年数は一般的には10年や15年になります。
ただ、保証年数が超えたからと言って使えなくなるわけではありません。
保証年数は、あくまで蓄電池メーカーが保証年数内であれば蓄電池の残容量を〇〇%を保証するというものです。
どういう意味?蓄電池が壊れたといは直してくれないの?
保証年数内に蓄電池が壊れてしまったら直してくれます。それに加えて、残容量保証というものもあります。
✅蓄電池の残容量保証
購入時に蓄電池に貯められる電気量を100とした時に、購入時から〇〇年経ったときに〇〇の電気量を貯められる能力を保証するというもの
例えば、8kWhの蓄電池を購入して10年後に5.9kWhの蓄電能力は保証するということです。
蓄電池は、使えば使うほど蓄電池に貯められる電気量が減っていきます。
ただ、その減り具合の保証をするというのが、残容量保証です。
蓄電池ごとにその残容量保証が異なっているということ?
そうですね。細かく残容量保証まで調べる方は少ないですが蓄電池を選ぶポイントとしてこだわる方はオススメです。
蓄電池の保証年数や寿命について詳しく知りたい方は、「家庭用蓄電池の寿命はどれくらい?メーカー別の比較付き」の記事を覗いてみてください。
蓄電池の設置場所で蓄電池を選ぶ
次に、蓄電池の設置場所で選ぶ方法について見ていきましょう。
蓄電池は、蓄電池容量が大きくなればなるほど蓄電池サイズも大きくなります。
物理的に、サイズの大きな蓄電池を設置する場所がなければ蓄電池の選び直しが必要です。
✅蓄電池のサイズ(目安)
2kWh~6kWh:DVDレコーダーや加湿器くらいの大きさ
7kWh~16kWh::洗濯機くらいの大きさ
6kWhまでの蓄電池なら屋内に設置できて、7kWh以上の蓄電池なら屋外に設置するのが一般的ということ?
そうですね。ベストな蓄電容量がわかった後は実際にどこに蓄電池を設置するのか確認してから購入をするようにしましょう。
住んでいるエリアで蓄電池を選ぶ
最後に、住んでいるエリアで蓄電池を選ばなくてはいけないケースがあります。
✅注意が必要な設置エリア
・海岸から近い場所に住んでいる方
・冬場に-20℃くらい気温が下がる場所に住んでいる方
多くの蓄電池は、海岸から離れていて気温も-10度まで耐えられるものになっております。
つまり、塩害地や寒冷地にお住まいの方はそれぞれに適した蓄電池を設置する必要があります。
適していない蓄電池を設置してしまった場合はどうなるの?
壊れてしまうリスクや充放電が上手くできなくなる可能性があります。
蓄電池の選び方で、ベストな蓄電池の種類や容量、タイプがわかったとしても「塩害地」や「寒冷地」にお住まいの方は、それぞれ対応した蓄電池の中で選ぶようにしましょう。
ちなみに、「塩害地に対応した蓄電池」と「寒冷地に対応した蓄電池」の記事を纏めておりますので、該当される方は覗いてみてください。
まとめ-蓄電池の選び方
今回は、家庭用蓄電池の選び方についてお伝えしました。
改めて、蓄電池の選び方の手順を確認しておきましょう。
✅蓄電池の選び方のおさらい
・まずは、「単機能」「ハイブリッド」「スタンドアロン」を選ぶ
・次に、平常時に太陽光発電と使用電力量から「蓄電容量」を決める
・最後に、停電時の生活を想定して「蓄電容量」と「蓄電池タイプ」を選ぶ
この手順に沿って、蓄電池を選んでいくと下記5つのどれかに該当することになります。
蓄電池の設置場所や住んでいる場所によっても、選ぶべき蓄電池が変わってくることもお伝えしました。
蓄電池の選び方を丁寧に解説している記事は少なく、また実際に蓄電池の営業をしている営業マンでもなんとなくで提案しているケースが多いです。
今回の蓄電池の選び方をマスターできれば、蓄電池選びで失敗することがなく、防災対策や節電対策を兼ね備えた生活が送れるようになります。
また、どんな蓄電池を選んだらよいかはわかったけど、もう少し具体的に蓄電池を知りたい方は「タイプ別(7タイプ)のおすすめ蓄電池」の記事をのぞいてみてください。
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ベストな蓄電池を選んで、快適な生活を手に入れましょう。
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